危険な予感はしていたんですけどね。おナスです。
というわけで、昨日8月9日は「0時から24時までの気温が30℃を下回らない」超熱帯夜の観測が4箇所。初観測が島根県松江と斐川(出雲空港)、鳥取県境港の3箇所。残る新潟県佐渡市相川では、4年ぶり2回目の観測となりました。
これまで中国地方では超熱帯夜の観測記録はありませんでした。2020年までには東京都心や福岡、長崎での観測記録はありましたが、その多くは新潟や富山をはじめとした北陸で観測されていたものです。
2022年には、これまで観測がなかった南西諸島でも、久米島空港観測所ではじめて「最低気温30℃以上」を記録しています。そこで、これまでの「超熱帯夜」の歴史?をおさらいしてみました。
最初の観測は1990年(新潟県糸魚川)
超熱帯夜が最初に観測されたのは、1990年8月22日のことでした。場所はもちろん、最低気温ネタの宝庫、新潟県糸魚川です。このときの最低気温は30.8℃と、それまで上回ったことがなかった30℃を軽く上回ってしまったんですね。
そして翌23日の糸魚川。朝9時までの最低気温は31.6℃でした。ただ、このときはその日のうちに寒冷前線が通過したらしく、23時すぎですが、最低気温は26.4℃まで下がっています。それでも熱帯夜ですね。
なぜ?ここで超熱帯夜?(富山県上市)
2番目の観測は、「ムヒ」とか「エムズーン」で有名な製薬会社がある富山県上市町です。
1997年8月9日、最低気温30.2℃を記録して本邦では2地点目の「超熱帯夜観測」となりました。ただ、不思議なことにですね。この上市町はやや内陸に位置しているためか、真夏であっても夜はそれなりに気温が下がります。
普通の「熱帯夜」の日数を調べても、1976年の統計開始からわずか4日しか観測されていません。ここ数日も熱帯夜になっていないどころか、最低気温だけ見てるとナスビタウンこと松本市より低い感じだったりします。かなり不思議...
20世紀に滑り込みセーフ?(北陸3県揃い踏み)
そして、その日はやって来たのです。2000年7月31日、富山、石川県の小松、福井市の越廼で超熱帯夜が観測されました。これで超熱帯夜の出現箇所はこれまでの2箇所から一気に5箇所に増加しました。
なお、同じ日に糸魚川でも超熱帯夜を記録しています。北陸3県というか北陸4県だったんですねぇ。糸魚川は前年の1999年にも超熱帯夜を記録していますので、2年連続3回目ですね、って夏の甲子園みたいな何かを感じます(感じません)
ついに東京都心でも「超熱帯夜」!
「暑さ」とか「熱帯夜」って、どちらかと言わなくても太平洋ベルト地帯とか、南西諸島とかそっちのイメージですよね。実際それは正しくて、年間の真夏日出現日数とか、熱帯夜出現日数はそちらの「暖地」のほうが多いのです。
ただ、突発的な高温の記録となるとその限りではありません。割とよくあるのがフェーン現象の影響で、超熱帯夜もほとんどがそれと言えるでしょう。
というわけで、21世紀を迎えてからは、2012年まで超熱帯夜は観測されませんでした。自称・気象DBでこの期間の最低気温29℃以上の記録を調べると、熱帯雨林気候の石垣島では何回も観測しているのですが、日本海側の地方の記録はまったくありません。
しかし、静寂?は破られます。2013年8月11日、東京都心でも超熱帯夜を観測することとなりました。この日は強い夏型の気圧配置でしたが、未明から明け方にかけては雲量が多く、前日の熱気が逃げなかったものと思われます。
昼間は晴れたたため気温は相当上がったようですが、やはり日没前からくもりとなり、日付が変わるまで気温は下がらなかった結果、最低気温が30.4℃となりました。この温度は2023年8月9日時点では史上5位の記録となります。
九州でも観測相次ぐ(長崎県口之津、福岡)
ここまででも、超熱帯夜を観測しているのは本州だけでした。本州脱出に成功した?のが2017年8月5日で、長崎県の口之津で最低気温30.0℃を記録しています。
翌2018年8月22日には、福岡でも最低気温30.5℃の超熱帯夜を観測することとなりました。30.5℃は、2023年8月9日時点で歴代4位の記録です。
8月22日って、1990年に糸魚川が史上はじめて最低気温30℃以上をを記録した日でもありました。もちろん単なる偶然かとは思いますが、こういうのもちょっとおもしろいですね。
新潟県の3箇所が仲間入り(相川、高田、三条)
2019年8月15日の記録も、インパクトを有しました。糸魚川で国内観測史上最高となる最低気温31.3℃を記録しただけでなく、佐渡市相川で30.8℃(2位タイ)、上越市高田で30.3℃(6位タイ)、三条で30.2℃(8位タイ)を記録したんですね。
高田は前日の8月14日に最高気温40.3℃を記録しており「酷暑日と超熱帯夜の双方を記録した唯一の観測点」となりました。三条も翌年40.4℃を観測したため「酷暑日と超熱帯夜の双方を記録した二番目の観測点」になったわけですが。
三条の惨状?いやまあ、糸魚川と相川の強さ?が突出してる感パねえっすねぇ。
ついに南西諸島でも記録(久米島空港)
超熱帯夜、なぜか南西諸島では記録されていませんでした。ベースになる気温は高いのですが、気温をブーストする要因としてはかなり強いフェーンが発生するような条件が整っていないということなのでしょう。近くに高い山ありませんし。
しかし、そんな南西諸島でも初となる「最低気温30℃」が記録されます。2022年8月26日、場所は久米島の北原、もっと言うと久米島空港でした。
8月19日以降、連日のように最低気温が29℃を超える夜が続いていたのですが、26日は未明から明け方にかけて何回か30.0℃を記録したもののそれ以上下がることはなく、日没後も30.3℃以上をキープしたのでした。
おそらく、気温の底が上がってる
そして2023年8月9日の山陰に続くわけですが。この、南西諸島での超熱帯夜の観測は、かなり大きな意味を持つような気がしています。1981年以降、石垣島における「最低気温29.0℃以上を記録した日」は2000年以前は記録しない年も多かったのですが、2001年以降はそういった年はむしろ少なくなり、2006年以降は毎年記録しています。
回数(該当年の日数)はかなりばらつきがあります。2桁を記録した年は2000年以前は1998年だけですが、2001年以降は8回あり、うち7回は2011年以降です。
地球では気温の上昇が指摘されていますが。このままで行くと、南西諸島ではカジュアルに「最低気温30℃超」の日を記録するようになるのかも知れません。うええ、ただでさえ大変なのに。
そのようなことにならないように。できることをやっていきたいですね。紫の体表面は紫外線対策なおナスでした。